プロジェクトでカイゼン [Project de Kaizen] 第23回

何が変るのか テレワーク時代の社内プロジェクト(その2)


前回は、これからの時代の社内プロジェクトでは中小企業が断行すべき二大課題に関するプロジェクトが増える ことを述べました。それらの課題はいずれも他社との協業や連携が必要になります。他社とのプロジェクト活動ですから、プロジェクト活動の巧拙がカギとなります。つまり、プロジェクトの運営はテレワーク時代に適したやり方に変化することになります。今回は、プロジェクト活動運営の変化について述べることにします。

1.従来の社内プロジェクトのイメージ
従来の社内プロジェクトについて、筆者のイメージは次のようなものです。

・その案件をプロジェクトとして立ち上げるかどうか、メンバー選任などは経営トップが決める
・メンバー選任の基準は専門スキルの有無であり、育成や成長のためのメンバー選任はあまり無い
・プロジェクトが発足すると、まず専用会議室(または大部屋のコーナーなど)が設定される
・メンバーは定例ミーティングのときに限らず、時間が空けば会議室に集まり、情報を共有する
・情報共有のため、会議室にあるホワイトボードや大判の模造紙にメンバーはメモ書きを貼りつける
・定例ミーティングだけでなく、随時、メモは分類・整理され、メンバー間で情報の理解が共有される

2.テレワーク時代の社内プロジェクト 従来との差異や変化
前提として、テレワークに対応した全社的な業務システム(コミュニケーションツール)が導入され稼動しているとして述べています。今後、導入事例が増えれば、差異や変化がさらに明らかになると思われます。

まずはプラスの側面です。
通常業務やプロジェクトに関わらず、「全社的に情報共有が促進される」ので(これは前提とします)
・メンバー間の情報共有が飛躍的に促進される(メモ貼り付けではなく、デジタル情報として蓄積)
・進ちょく管理が日常的に見える化できる(進ちょく会議は基本不要、問題解決の場合などのみ)
・メンバーの疑問や質問の回答を全社から得られる(プロジェクト関係者以外も自由に回答できる)
 ・メンバーの業務生産性の推移が見える化できるので、リーダーはタイムリーに支援できる

次にテレワークについて基本的なマイナスの側面です。筆者の感覚的見解を含みます。
・在宅勤務は職住が一致するので、オフィス集合勤務よりも仕事モードの高い集中度やその維持が難しいのではないだろうか
・業務システムは、基本的に作文や作表という業務成果物のインプットを要求する。従来よりも高い言語化スキルが要求される。(従来の口頭でのコミュニケーションを代替するツールがまだ準備されていない) ここに困難さを感じる人たちもあるのではないか
・プロジェクト業務の場合、一般的に通常業務よりも難しくストレスが増える。かつ通常業務との掛け持ちにより生産性が低下する傾向がある。従って、従来よりもプロジェクトの生産性が低下することが考えられる

テレワークの進展は今後避けられず、時代の流れとなると考えられます。経営生産性の向上という大きな課題達成のために、マイナス面の影響を解消する対応が求められます。次回は、その対応について述べることにします。