プロジェクトでカイゼン [Project de Kaizen] 第3回

最終的な姿や成否がわかりにくいときこそプロジェクトが効果的

プロジェクトはこんなときに効果的! 前回は、建屋を新築せずにラインを増設する事例を取り上げました。これは、プロジェクトの目指す最終的な姿や、プロジェクトが成功したかどうか、それが誰にでも明確に理解できる、わかりやすい事例でした。
ところが、プロジェクトの最終的な姿や成功したかどうかについてすぐにはわかりにくいケースも少なからずあります。例えば、次のような案件です。
 
A.多様な働き方に対応し現有人材をパワーアップしたい
人事制度改革、社内人材の発掘と開発、テレワークの導入と推進
B.商品戦略を実現するために新しい組織を立ち上げたい
新商品開発、利益管理、技術営業
C.他社との協業に取り組みたい
新規事業立ち上げ、海外拠点展開、新商品開発
 
これらの案件は、プロジェクトを立ち上げることはできても計画どおりに実行することが難しく、いわゆる「立ち消えプロジェクト」(立ち上げたがまもなく解散してしまうプロジェクト)になることも多いのです。また、プロジェクト計画としては終了までこぎつけたとしてもその後がうまくいかなかったり、プロジェクトが成功したかどうかについてはっきりしないこともしばしばあります。
前回の事例、製造ラインの短縮化によるライン増設では、プロジェクト体制によらなくても「段取りが上手でしかも仕事のさばき方がうまい人がいれば何とかなるかも・・」と書きました。しかし、今回の案件(上記A~C)ではいずれをとってもプロジェクト体制にしない限り、成功はとても難しいことでしょう。
前回、プロジェクトでやるかどうかの重要な判断ポイントのひとつは「関係する部門が多いかどうか」にあると書きました。今回の案件(上記A~C)には、また別の判断ポイントがあります。それは「最終的な成果物が無形のものである」場合です。
 
「成果物」などはプロジェクトでよく使われる用語です。ここでそれらを解説します。一般にはあまり馴染みの無い用語ですが、組織の共通言語として使える価値あるスグレモノです。
プロジェクトとは「成果物」をつくることです。
 

 
休日を使って犬小屋を改修することになりました。だいぶ古びて雨漏りしているので、愛犬の住居を新築したい(→プロジェクトの「目的」です)。「ワンちゃん住環境改善プロジェクト」は1日かけて終わりました。犬小屋は、このプロジェクトでの「成果物」です(→成果物とは仕事の完了時にでき上がっているモノや状態のことです)。防水塗装も予定していましたが、夕方から雨になったので塗装は次の休日にやることにしました。犬小屋としてとりあえずはこのままでワンちゃんは満足です(→防水塗装が終われば新築の犬小屋はプロジェクトの「最終成果物」となります)。
成果物とは仕事の完了時にでき上がっているモノや状態のことです。プロジェクトの最後に出来上がる成果物をとくに最終成果物、途中で出来上がるものを中間成果物などと区別することもあります。また、成果物には有形と無形の分類もあります。ハコモノとしての犬小屋は有形の成果物ですが、改修後のワンちゃんの「快適な住環境」は無形の成果物です。
「最終的な成果物が無形のものである」ときは、プロジェクト方式にする判断ポイントになります。例えば、案件としてとりあげた、B.商品戦略を実現するために新しい組織を立ち上げたいので「利益管理の仕組み構築」を計画するとします。目に見える(有形の)ハコモノなどは一切存在しません。すべて無形のものばかりです。最終的な成果物をどう表現していくのか、経営者としては強いニーズがある、そういう場合にこそプロジェクトが効果的なやり方になります。