3.仕組みを改善する基本 【急所31】問題に対する最大の対策手段

2010年10月ですから、今からちょうど10年くらい前のことです。今はもうないのですが、経団連が主催する「日本経団連洋上研修」というユニークな研修がありました。多くの会社の管理者や監督者あるいはその候補者が200人くらい船に乗り込んで8日間にわたる研修をするのです。私はその研修の講師の一人であり、毎年多くの方々と一緒にいろいろな議論をするのを楽しみにしておりました。
 

 
その年の名誉団長はコマツ会長(当時)の坂根正弘氏でした。そしてみんなで食事をしていた時に坂根名誉団長が「この中で、ボルトがひとりでに緩む瞬間を見たことある人いるかい?」とニコニコしながら質問されました。ボルトを緩めたことはありますが、ひとりでに緩む瞬間は見たことがありません。私もみんなも黙っていました。すると坂根会長は続けて、「そうだろう、見たことないだろう…。でも自動車や設備でボルトが緩むことによる問題は多いよ。実際に誰もその瞬間を見ていない大問題というのは実に多いんだよな。」とおっしゃいました。
 
確かに不良統計でボルト緩みという項目は多く、数字も具体的ですが、その瞬間は誰も見ていません。実際に自分の眼で見ていないにもかかわらず、そのことについてあたかも分かっているように振舞ってしまうことは多いなあとその時に思ったものでした。実際、見ればすぐにわかることであっても見ないで間違った判断を下したり、解決を遠回りさせたりすることも起きているでしょう。
 
不良が出続けている時に、誰も現場を見ておらず、正確な状況判断ができていないまま対症療法を撮り続けていることもあります。対策だけ行おうとするからなのですが、実は簡単に解決できることが原因だったりします。見ることができるモノはまず見ることが大切です。
 
管理では「見ること」を補うことはできないのです。しかし、もしそれらを自分の眼で見れば、瞬時に正確な対策を打つことができるでしょう。現場で現物を見ることは最大の対策手段です。
 
今週の言葉  本当に自分の眼で見たことと、そうでないことを区別せよ。

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