虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第4回:ないなら自ら進化して作り出す(その2)

●深海魚は自ら発光するなど環境に適合しています

水深200mから1000mの深海にいるダイオオイカの映像を見た時は、思わずのけ反るくらい驚きました。実際に深海で泳いでいる姿を見た時には、嬉しくもあり少し怖さも同居した不思議な感覚におそわれました。直径30cmもある巨大な眼で見つめられると動けなくなります。しかも体全体が金色に輝いていたので、これを焼きイカにしたら人前になるかなどと考えることもできませんでしたが、迫力の方が圧倒していました。
 
深海には極僅かしか光が届きませんので、見えないと餌を探して食べることができません。光を得て餌の大きさ、位置、方向などを想定して捕獲しなければなりません。ダイオオイカの餌を採る瞬間の映像からも、位置を想定しながらしかも相手に見つからないように下から攻撃を仕掛けていきました。巨大な眼は光を集めるための進化の形になります。未知のものには、そのような好奇心と恐れもあるのでしょう。
 
深海に潜んで生活する魚類などは、光がほとんど届かないので苦労しているはずです。懐中電灯で探すこともありません。僅かな光をパラボラアンテナのように反射して集中し、アンプのように増幅する仕組みを持った魚もいます。また自ら発光する仕掛けを作り出すものが非常に多くいます。
 
それは魚の種類により、自己防衛のため、餌と勘違いさせるため、お互いのコミュニケーションを図ることもあります。代表的なのが、チョウチンアンコウですね。また眼は正面ではなく、真上に向いた深海魚もいます。光は上からしか来ないので、その光を集めるために目が次第に真上に向くようになったのです。正面や下からは光が来ないので、上に集中する体制です。これも理に適っており、生活の知恵というか進化といえます。
 
また自分より大きな獲物を食べてしまうために、自分の体よりも大きくなる胃袋を持った魚もいます。一度くわえたら逃さないために鋭い歯に変化したり、何ヶ月も捕食できないこともあるので、肝臓が非常に発達したりするなど環境に応じて自らを変えています。生きるために自分の特長を最大限に活かそうとする姿勢は、製造現場にも学ぶことも多いようです。生産システムも少ないリソースをいかに効率よく、タイミングを見ながら同期化させるかがマネジメントの大切なところです。
 

●進化は、生き続けるため自ら変えていくことです

「化ける」という字は、偏と旁の組み合わせです。人偏の方が、人が横を向いている姿で、右の旁は人が足を投げ出して座った姿と現して、立っているのと座っていることを組み合わせて「化ける」という字になります。漢字の謂われも調べてみると、理に適っていますので、読んでみるとなるほどと合点がいきます。なかったものを見えるように化けさせることで、価値あるものになることがあります。それが目で見る管理です。単なる数値の羅列でも、グラフ化や表にすることで流れや傾向が見えてきます。
 
同じ「化ける」でも、進化は世の中の流れに自らが変化することです。企業の使命は、生き続けることです。使命とは命を使うことであり、社会貢献という重要な役目を持っています。市場環境の変化の速度は、情報革命の進化とともに速くなっています。魚眼レンズのように全方向の様子を伺い、自ら進化できる速度を上げていきたいものです。

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