虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第7回:それが限界ですか?と一歩踏み込む(その1)

● 限界まで使い切ってみると、その先が見えてきます

鉛筆1本で取れくらいの線が書けるかということは、メーカーの広報で紹介されています。50kmという驚きの能力を持っているようです。鉛筆の長さはJISで決まっており、17.5cmです。M社のHi-Uniの2Bをいつも執筆のアイデアを練る時やイラストの原画を描く時に使っていますが、これは実測する17.8cmと少しヘソの部分が長いようです。鉛筆の欠点は、最後まで絶対に使えないという条件があります。手で持つ部分がどうしても、約7.5cmは必要だからです。
 
そのためにアルミキャップを取り付けたり、10.5cmの長さのあるアルミホルダーに装着して使っています。しかし質感というか、鉛筆本体の木の軸に指先が付く範囲に長さが限られてしまいます。最終的にはこの7.5cmが、実質の限界になっています。買った時は、17.5cmで、使えなくなるのは7.5cmなので、実質鉛筆は10cmしか使うことができないのです。 従って、50kmの約6割の30kmの長さの線が書けることになります。でも鉛筆の長さ1cmでは、なんと3kmの線が書ける能力を有しています。それをどのように活用するかは人それぞれですが、身近な製品にこのような実力があることを知って使うと、これらを発明した先人に感謝の気持ちが湧いてきます。
 
著者は、原稿やイラストを描く時に鉛筆を5本くらい用意して、すべてカッターで削り出して精神統一します。これは一種の儀式ですが、一気にパソコンに入力するのではなく、まずで手描きアイデアを自由に発想して、必要な項目や語句を羅列していきます。時々料理する時は、「美味しくなあれ!」と心を込めて作りますが、文章やイラストの作成も同じ気持ちで向かいます。
 
学生時代はご同輩よろしく貧乏だったので、ティーバックの紅茶が何回飲むことができるかの限界の挑戦も何度も試みました。3から4回までは、なんとか紅茶の味と香り、さらに色も出て飲み物に通用します。これから先は味と香りはほとんどなくなり、色が出るかとティーバックとの戦いになります。
 
使用後は天日にさらして水分を完全に取り去ります。湯を注ぐだけではかなり難しくなってきますので、ポットで煮込んでとにかく色を出すという点に注力して限界を極めてみました。結果は、最高8回まででした。実質5から6回であり、もう紅茶ではなくわずかに色が滲み出ている白湯に近いものです。N社とL社の2強メーカーがありましたが、甲乙の差はなかったと記憶しています。